Re: IABP更新に伴う機器選定と上腕アクセスに関するご相談 ( No.1 ) |
- 日時: 2023/04/12 11:23:00
- 名前: 名一の開
- 旭川の黒田さま、おつかれさまです。
ということは日本集中治療医学会のICUセミナー中級コースを見てくださったということですね。ありがとうございます。 現在、本邦で上市されるIABPは4社です。すべて7Frがあります (これはオモテ掲示板ですね。私の主観(勝手論理で穏やかに記載します(笑))
1.一番シェアが大きいのはゲティンゲ社のものですよね。(当院1台所有) 良いところは他施設で使ってる率が高いので、転入しても転出しても同じ機種がつかえるところでないでしょうか。圧信号が光ファイバーなのも好感します。実は一番良いところはImpellaにアップグレードする際にシースからバルーンが抜去できる可能性が高い(他種はシースが太いものを選択してしないとできない) 嫌いなところは、作動回数(ポンピング数)で整備対象になる。性能に売りがない(言ってみれば普通)。コンセント抜いてもアラームならないのに、故意な停止では鳴り続ける(これは旭川でも私が熱弁してましたが)。
2.ついでシェア的には泉工のコラートですね。(当院BP21とBP3で2台づつ計4台で捨ててないのもあります) 良いところは前述の反対のオペ中なんかに用手停止して、その後1回なるが、その後は鳴らないのでありがたい。BP21TURBOよりBP3で容量式になり駆動力はアップですので、1.より上かと思います。タイミング調整は1より具合良く4社では一番と思ってますが。オートは癖ある気もします。 嫌なところは、BP3はスタイリッシュでない。ゲティンゲの真似して搬送時にスーツケース仕様になりますが、車輪が2つでストレッチャーに接近できず、何より電源ケーブルがデカいADアダプタでだめ。普通の状態で搬送した方がマシ。スタイリッシュでない。2台中2台が早速壊れた。そんなところでしょうか。 ノイズに関してはカテ室側に問題があることも多く2014年のこの掲示板に書かせてもらいました http://plaza.umin.ac.jp/~jrcce/cgi-bin/patio/read.cgi?no=149 当院はECGはモニタからもらい外部入力しか使わないです。よってIABP用の電極使用は一切してないです。それも悪いんですが。
3.ゼオン社製(当院デモしか経験なし) 良いところ、6Frはココしかないです(6Frでは圧信号はできない)よってインフレートおよびデフレートの強さはNO1と思います。7Frを使うなら、その強さは私勝手ランキングでは3,2(BP3),1,4の順と思います。R-Rが素直なら最も高HRに追従できるのではないでしょうか。 嫌なところはないのですが、特に6Frが選べる以外好きなところがないです。
4.テレフレックス(アロー)(当院はデモだけ) 良いところ、昭和から平成の最初の頃のIABPはリアルタイム処理であったためR-Rは整でもHRは90位までしか追従できませんでした。それがデータスコープ90の後期verとか97やBP1ぐらいから飛躍的技術革新があり予測制御で今では8Frを選んでればHR140ぐらいも行けます。しかし予測的ですので、VPCやPaceが入ったり入らなかったりするR-R不整はだめです。しかしココのメーカーはECGと圧(メーカ専用のバルーンだけど作っているのは東海メディカル)を使い毎ビートリアルタイム処理のWAVE理論です。圧波形をいちいち流量波形に微分換算して、超短時間の近未来を予測して作動するものです。正直言ってAfならこの機種を使いたいです。中級セミナーでも記載しましたが、IABPは3回連続でタイミング成功してPVループのシストリックアンローディングは下がるわけですので。 嫌いなのは、なんでダイアフラム制御なのか?です。WAVE理論に対応する速応答はダイアフラムでないと無理なのかも知れませんが、出し入れのパワーは必ず劣ります。ですので7Frを考えるならおススメできないですね。
まとめ 7Frを選択すると、あきらかにHRが高い場合に追いついてない感があります。上腕IABPは数例しか経験ないのですが、PCIも6Frでやることを 考えると積極的に上腕を行うなら3の機種は悪くないかと考えます。 私の好きな順は4231ですが、現実的には一番良いものが一番売れているわけでもないので、21または12の順なんでしょうね (50代以上しか分かりませんが、わたしはよく例えでVHSとベータの話を引き合いにしてます。優れたものが市場の勝者にはならないことです) 1はぶっちゃけ好きでないですが、搬送されてくると毎回黄色の光ファイバーを私がハサミで切り落としてましたので、しょうがなく買ったわけです。
超長文になりました。
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Re: IABP更新に伴う機器選定と上腕アクセスに関するご相談 ( No.2 ) |
- 日時: 2023/04/12 13:56:31
- 名前: 熊本 濱坂
- 熊本の濱坂です。
当院ではIABPの機種はゲティンゲのCARDIO SAVEを4台所有しています。開さんが詳しく書かれているので、特別ありませんが、特に問題なく使用しています。
上腕からのバルーンについて当院の使用経験を少しだけ書かせて頂きます。製品はTOKAI 7Fr-Long 35ccを上腕アプローチ用として在庫しています。約10年間で使用件数は2〜3例で、使用中の問題として留置後の固定はシーネを使って肘を曲げないように固定していましたが、少しの動きでリークアラームが頻発し、留置後ICU帰室し、短時間で抜去しています。もう1例はCABG OPで鼠径アプローチが出来ず、心肺離脱後の補助目的で使用し、ICU帰室後、翌日には覚醒されたので同じようにアラームが頻発し抜去しています。左鎖骨下動脈の蛇行か何か忘れましたが、1例は最終的には留置できず終了しています。 以上、簡単ではございますが当院の使用経験を書かせて頂きました。ご参考になれば幸いです。こういった理由でここ5年以上使用経験がなくぼちぼち滅菌が切れるので、通常の鼠径アプローチで使用する予定です(有効長が15cm長いだけですので問題ありません)。
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Re: IABP更新に伴う機器選定と上腕アクセスに関するご相談 ( No.3 ) |
- 日時: 2023/04/12 15:12:15
- 名前: 秋田の松田
- 旭川の黒田様
当院ではCARDIO SAVEとCS300を使用しており、過去には泉工のBP1、マッケ(当時)のCS100を使用しておりました。 また、当院で上腕アクセスの経験はありません。
個人的な意見ですが、CS300と比べてCARDIO SAVEは静かなので、覚醒している患者さんには良いかと思います。あまりにも静かで「本当に動いている?」と看護スタッフから聞かれたこともあります。 ただ、開さんと同じく旭川の日赤医学会で話しましたが、搬送モードからのドッキングが不十分なまま使用してもアラームは鳴らず、バッテリーが無くなるまで気が付きません。(バッテリーが無くなっても気が付かないかもしれません・・・) ですので院内での移動はそのままの状態で移動し、転院搬送時は搬送モードで移動、帰って来てドッキングした際に、確実に充電されていることを確認するようにしています。さらに最近ではバルーンの供給とセーフティディスク問題がありました。これは徐々に解消されてきているかと思います。
PCPSが全てテルモから泉工に変わったので、次回の更新はカラー統一してBP3にするか悩んでおります。
上記のバルーンの供給が不安定な時期は、東海メディカルプロダクツのバルーンが各社接続できますので、いつでも切り替えられるようにしていました。
回答になっておらず申し訳ございません!
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Re: IABP更新に伴う機器選定と上腕アクセスに関するご相談 ( No.4 ) |
- 日時: 2023/04/14 09:11:09
- 名前: 名一の開
- 好きでないCARDIO SAVEの良いところを思い出しました。
電源コードが掃除機のようでしかも長い! これは延長なしでできるので長所と思ってます。 掃除機のコードもそうですが、印があるところまですべて引き出すのが正答なんですよね(笑)じゃまだったりするかも知れないですが。 BP3は長くなりましたがフレームに巻き付けてるのでスタイリッシュでないです。
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Re: IABP更新に伴う機器選定と上腕アクセスに関するご相談 ( No.5 ) |
- 日時: 2023/04/14 20:44:13
- 名前: 旭川日赤の黒田
- お忙しいところ早速ご回答いただきました皆様、貴重な情報提供誠にありがとうございます。先輩方からこんなに有益な情報をいただけこと、感謝に堪えません。
開様 各社詳細な情報ありがとうございます。 6Frの使用を想定した上で機器選定を行うのであれば、カテラインナップと駆動インデフの強さという観点からゼオンが優位になるというところでしょうか。 北海道の各施設に尋ねてみても上腕アクセスは使用経験的に10年に数例、Tryしてもうまくいかなかったという施設が多い印象でした。当院で想定している緊急使用(主にACS)でのTF-IABPコンプレックス症例における6Fr TB-IABPの使用は現実なかなか難しいかもしれないということですね。 となると、応答性や対不整脈症例を考慮するとランキングNo.1のテレフレックス 8Fr使用、もしくは合併症回避やベッドレストの点から7Frを一択での運用考えるならコラートBP-3が妥当なのかもしれないと感じました。 ちなみに、ビデオ戦争についても調べさせていただく良い機会となりました、ありがとうございます。
濱坂様 上腕アクセスに関する貴重なご経験を共有いただきありがとうございます。やはり現実ではかなり難渋されるんですね。私の勉強不足で申し訳ありませんが質問させてください。体動によるリークアラーム発生はどのような機序によるものでしょうか?カテ内腔が狭小化することで、入れた量と返ってくる量の時相に差が出ることが原因となるということでしょうか?図々しくて申し訳ありませんが、差し支えなければまた教えていただきたいです。
松田様 PICS予防等の観点においても静音性は大変と感じます。ただ、皆様おっしゃっている通り物流難やアラームにおけるリスク(旭川でも大変勉強になりました)はなかなか厳しいですね。 供給不足の対応策も勉強になりました。参考にさせていただきます。
皆様のご意見から各社の特徴に一長一短があり、何を想定し何をしたいかをしっかり見える化した上で協議できるよう準備させていたくことが吉ということが改めてわかりました。教科書にない貴重な情報をいただき重ねてお礼申し上げます。
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