Re: 輸液ポンプの積算量と輸液残量の不一致 ( No.1 ) |
- 日時: 2014/06/18 19:03:51
- 名前: 旭川の貝沼
- さいたまのやりた 様
お疲れ様です。旭川の貝沼です。 輸液ポンプのトラブルは当院でも時々あります。当院の使用ポンプはOT-808(JMS)滴落検知器、フリーフロー対策の電動クランプ付です。
シリンジポンプ、輸液ポンプ使用時は看護師が院内統一の使用中チェックリストを用いて流量、予定量、積算量、目視の点滴残量、ルートや穿刺部の状態などをチェックし記載してくれています。トラブル時はトラブル連絡表(トラブルの詳細を記載したもの)、使用中チェックリスト、使用していた点滴セットなどを一緒におろしてもらいます。そして点検前に履歴を取得し、その後流量点検を実施してます。履歴には滴落検知器でカウントした滴数も取得できますので、履歴は必ずとるようにしています。トラブルの大半が誤差の範囲内であったり、輸液の交換時に積算量をリセットしていないなど使用上の問題が多いです。落下して破損したポンプをそのまま使用してしまい、フリーフローを起こしてしまったというトラブルは一度経験したことがあります。
今回のトラブル内容は積算量と輸液バック内の薬剤残量が少ないとのことですが、ポンプに表示される積算量は設定流量×動作した時間をカウントしているタイマーみたいなものですので、バック内の薬液の減りが少ないことで考えられるのは輸液ルート間違い(専用回路なのでこれはないですね)や輸液ルートがポンプに正確にセットされていない(フィンガーやルートがセットされていなければならないところにずれてはまっていない)ことでしょうか。
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Re: 輸液ポンプの積算量と輸液残量の不一致 ( No.2 ) |
- 日時: 2014/06/19 18:36:08
- 名前: 旭川の脇田
- さいたまのやりた様
旭川の脇田です。
お疲れ様です。貝沼に続き追加情報です。
どれくらいの誤差量が問題になっているのかがわかりませんが、過去に当院で輸液ポンプをテルモからJMSに切り替えた際に、二泊三日で化学療法の短期入院の患者において輸液が余って終了時間が遅れて困るというクレームが頻発したため詳しく調べたことがあります。
IVHなどでは輸液が少々残っても時間でバックを交換するならあまり気にならないのでしょうが、当院の化学療法はバックが完全に空になって空液警報が出てから終了というやり方でした。
多くの症例はカクテルになった薬液を25ml/hr程度で輸液しているため、輸液ポンプの精度がピッタリだったとしても、実量が各薬剤の表示値を基に計算された理論値よりも20〜40ml程度多ければ1時間〜2時間弱も輸液終了時間が遅れてしまうということになり、ケモで短期入院の患者は輸液終了後にすぐに退院となるため、退院時間が遅れるということでクレームになったわけです。
この要因を探ってみると、テルモの輸液ポンプはそもそも+2%程度多めに入るように精度管理されていたこと(これは私が把握していなかった)、JMSに切り替えた際に輸液精度を±0、つまりほぼピッタリになるように精度管理をして運用を始めたことが原因でありました。したがって精度をピッタリにすると実量が多いわけですから時間が来ても余ることになるわけです。患者さんは早く終わるのはいくら早く終わってもいいが、遅れるのは5分でも嫌だという感覚です。患者の心理状態を考えれば理解はできます。
対策はJMSの輸液ポンプを+3%多めに輸液されるように精度管理を行い、薬剤に表示されている容量と実容量は違うことを看護サイドへ説明し何とか乗り越えまして今は問題なく運用できています。
━━━━ 誤差が出る要因として考えられること ━━━━
■ルートのしごかれる部分はどのメーカーも24時間に一度ずらして下さいということになっていますが、これが行われていたか?
↓
これが行われなかったとすれば、いくら念入りに輸液ポンプの注入精度管理をしていてもラインがつぶれるため実輸液量は少なくなり、積算と輸液残量がかい離します。
■輸液総量実測値が計算された理論値と合致しているか?
↓
実は500mlの生食はピッタリ500mlではない。日本薬局方によって約5%ほど多めに作製するように規定されているとのことです。
そこで誤差を検証してみたら以下のようになりました。
表示容量 | 実容量 | 誤差 | 総重量 |パック重量 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 500ml | 538ml | 38ml | 561.5ml | 23.5g 500ml | 535ml | 35ml | 558.5ml | 23.5g 500ml | 530ml | 30ml | 553.5ml | 23.5g 500ml | 525ml | 25ml | 548.5ml | 23.5g
ビーフリード 1000ml 1062.8ml 62.8ml 1111.5ml 48.7g ↑これをベースにカクテルをつくるとベースだけで62.8mlも多くなり、25ml/hrで注入すると空液まで輸液するとなると3時間も遅れることになるわけです。
つまり、化学療法などで種々の液剤を混合するとなると表示容量よりも必ず多くなり、容量が多ければ多いほど輸液実量との誤差が大きくなります。 薬剤部で秤で実輸液量を計測して記載してくれればいいのですがそこまで管理しているところはあまりないようです。
■輸液パック(アリメバック)の容量を示すラインを信じてはいけない。
↓
当院でも予定量と100mlも誤差があったと報告があったバックの残量を50mlのシリンジで抜いて実用液量を測定したらバックの表示線は100mlだったが実際には50mlであった。
そもそも輸液ポンプの注入精度は±10%の誤差は許容範囲です。簡単に言うと、総量500mlの輸液を24時間で割れば約21ml/hrですよね。 500mlの10%といえば50mlの誤差で、21ml/hrで注入すると約±2時間の誤差が許容されるわけで、2時間早く終わってしまう、あるいは全部入れるなら2時間余計にかかってしまうという程度の注入精度であることも看護師たちに理解してもらうことも必要かなと思います。
実際には皆さんのところでは10%誤差が出るような管理はしていないと思われます。当院は+3%の管理です。
以上のような経験があります。ご参考になれば幸いです。
急いで書いたので誤字・脱字・意味不明?は文脈を察してお読み下さると助かります。
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Re: 輸液ポンプの積算量と輸液残量の不一致 ( No.3 ) |
- 日時: 2014/06/20 18:14:21
- 名前: さいたまのやりた
- 旭川の貝沼様 脇田様
丁寧なコメント有難うございます。
当院は、輸液ポンプとシリンジポンプ台数の都合などにより、一般病棟では24時間持続の少量の点滴も輸液ポンプを使用することがあります。 貝沼様のご指摘通り、異常発生時ポンプ単体の返却では現象がつかめません。当院も医療機器不具合報告書と薬剤・回路をふくめて返却を原則としております。また、日勤帯では異状発生状態でCEコールとしております。 そ輸液ポンプの患者側回路が詰まって滴下できない状態で、閉塞警報不鳴動状態を1例経験しております。この事例は小生が確認し、その場で輸液ポンプの回路セット状態や閉塞検知部を確認しましたが異常は認められず、この後は即座に閉塞警報が発生しました。ポンプチェッカーにて規程値内で同様の異常発生の再現はできませんでした。で???です。 回路のフィンガー部は1日1回ずらしております。
また、脇田様詳細な情報ありがとうございます。 等現象以外で大変勉強になりました。 事細かく検証されているのですね。
ポンプ積算値より実滴下量の少ない事象の検討をテルモ(株)と合同で検討することとしました。
また何か情報がございましたらお願いいたします。
ありがとうございました。
さいたまのやりた
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